【連載 vol.2】売春防止法は「売春」を処罰してないってホント!?

連載_労働問題_第2回

2018年のロシアワールドカップでの日本代表の躍進は記憶に新しいところです。
前評判を覆し、決勝トーナメントに進み、あの準優勝国のベルギーをあと一歩のところまで追い詰めました。

その日本代表が予選リーグ敗退か決勝トーナメントに進めるかを決めたのは「フェアプレーポイント」でした。つまり、イエローカード・レッドカードを受けた枚数の差です。

日本代表が決勝トーナメントを決めたポーランド戦の最後の10分の戦術には賛否両論があります。
サッカーファンにとってはなんともモドカシイ試合でしたが、ギリギリの状況で西野監督が従ったのは、決勝トーナメントに進出するための条件を定めた「ルール」です。

スポーツでも、将棋でも、トランプ遊びでも「ルール」があります。
プレーヤーがその共通の「ルール」に従うことで、試合や遊びが成立します。

労働問題も同じです。労働問題を考える上でまず知っておきたいのは、「ルール」です。
労働環境に共通するルールに従って働くことで、会社の健全性も保たれ、みんなが気持ちよく働くことができます。

この「ルール」のことを「法」といいます。
そして、労働問題に関わるルールが「労働法」なんですね。

法律と聞くと敷居が高くアレルギーを持たれる方もいるかもしれません。
ですが、できるだけ親しみが持てるように説明していきますので、安心してください。

では、早速本題に入りましょう!

売春防止法は、売春を処罰してないってホント!?

労働問題_売春

ある法律が、どのような法律なのかを知りたい場合、一般的には、その法律の1条を見てみてください。そこには、その法律がどのようなことを目的として規定されているのかが書かれています。

売春防止法の1条をみてみよう!

いきなり「労働法」からは脱線してしまいますが、「売春防止法」という法律の1条を見てみましょう。

そこには、このように書かれています。

この法律は、売春が人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものであることにかんがみ、売春を助長する行為等を処罰するとともに、性交又は環境に照らして売春を行うおそれのある女子に対する補導処分及び保護更正の措置を構ずることによつて、売春の防止を図ることを目的とする。

なんだか、ムズカシイ言葉が使われていてなんのことかわからないですよね。

細かいことは無視して構いません。
だいたいどんなことを言っているのかをざっくり掴んでみましょう。

売春防止法1条の目的は?

まず、「売春の防止を図ること」を目的としていることは明らかですね。

また、なぜ「売春」を防止するべきなのかが書かれています。

「人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良の風俗をみだすものである」からです。

わかりやすく言うと、「ひとりひとりは大切な人間です。売春は人々の性に関するモラルを壊すし、社会の秩序を乱すことになるので、やめましょう」という感じです。

売春防止法1条はどんなことを処罰するの?

さらに、どのような行為が処罰されるかというと、

「売春を助長する行為等」と書かれています。

ここでは「売春」そのものは処罰の対象とされていません。売春しても罰せられることはないんです。

罰せられるのは、「売春を助長する行為等」です。

つまり、売春の勧誘をしたり斡旋(あっせん)したりすることを処罰しているのです。

ただし、「売春」そのものは、売春防止法3条で「禁止」されています。

この法律では、「売春」は「禁止」されてはいるが、「処罰」はされていないということです。

少し難しいかもしれませんね。

「禁止」というのは、「○○をしてはダメですよ!」と警告していることです。

一方「処罰」というのは、「○○をしたら、罰しますよ!」ということです。

ですから、売春防止法によれば、「売春はダメです!」とは言っていますが、「売春したら、罰します!」とは言っていないということです。

罰せられるのは、あくまで「売春を助長する行為等」です。

売春防止法1条はどんな対応をするの?

話を売春防止法の1条に戻しましょう。

「売春」を行うおそれのある「女子」に対しては、「補導処分」や「保護更正の措置」がとられることも規定されています。

つまり、「売春をしそうな女性は、補導したり保護したりすることがありますよ」ということです。

もちろん、この処分や措置は、「売春の防止」という目的を実現するためです。

法律の「1条」は情報の宝箱!?

このように、法律の1条には、その法律がどのようなことを目的として規定されているのかが掲げられているのです。

また、上でみた売春防止法のように、どんな人のどんな行為についてルールを定めているのか、それについてどのように対処するのかなども書かれていることもあります。

まさに情報の宝箱です。

労働法という法律はない!?

労働問題_労働法

では、この連載のテーマである労働問題のルールを探してみましょう。

労働問題のルールなので、「労働法」を見てみます。

・・・といって、「労働法」を探しても、実はどこにもありません。

そうなんです。「労働法」という法律は存在しないのです。

では、労働問題の世界は、法律によるルールがない、野放しの世界なのかといえば、もちろんそんなことはありません。

ちゃんとルールはあります。

具体的には、

  • 「労働契約法」
  • 「労働基準法」
  • 「労働組合法」
  • 「男女雇用機会均等法」
  • 「労働者災害補償保険法」

などです。「労働」という単語が含まれる法律が多いのがわかりますね。

それでも、肝心の「労働法」という法律はないのです。

結局、「労働法」とは、「雇用されて働くことに関する法律の総称」というくらいのイメージをもっていただければ十分です。

あとがき

今回はここまでです。

労働問題のルールとして「労働法」という法律はない

ということだけ覚えておいてください。

次回から、労働問題のルールを詳しくみていきます。

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