【連載 vol.1】労働問題を知れば、労働環境は劇的に改善する!

連載_労働問題_第1回

中小企業経営者のコンサルティングパートナーとしてお付き合いをさせていただくと、必ずといっていいほど相談されるトピックがあります。

それは、労働問題に関するものです。

日本は、高度成長期時代から今日にいたるまでまで、朝8時~9時頃に会社に出勤し、夜の5時~6時頃まで働くという働き方を続けてきました。

そして1日8時間労働が普通の働き方であり、また15歳(中学卒業)から60歳定年までと働く期間も判で押したように同じでした。

しかしながら、高齢化と少子化のダブルパンチで「生産年齢人口」は減少の一途をたどっています。また、育児や介護との両立など、働く人のニーズの多様化も求められています。

こういった背景を踏まえて労働環境をダイナミックに変革しようと、隠れた労働力(女性や高齢者)を活用し、勤務開始時間や終了時間を柔軟に決められる仕組みを取り入れたり、個人のライフスタイルに合わせた職場を提供することなど、多方面から働き方を変えようとする動きがあります。

これが「働き方改革」です。

しかし、政府が主導して労働環境の変革に取り組んだところで、雇用する側と雇用される側で生じる問題を根本的な解決はできないでしょう。

なぜなら、制度としての建前と現場としての本音には必ず乖離があるからです。

昨今、ブラック企業だのセクハラ・パワハラだのと世間を賑わせている労働問題ですが、マスメディアの報道が偏向的であったり煽り方が過剰であったりすることも否めないと思っています。

法令遵守は、企業経営の最低限のルールですが、あまりに杓子定規にそれをあてはめることもまた不都合が多いでしょう。

ベンチャー企業の9割が3年で消えると言われている中で、文字どおり存続をかけて闘っている企業に対して、公明正大に「法律に従って・・・」と注文することの方がむしろ現場を無視していることになりはしないかとも思うのです。

当然、ブラック企業を両手で肯定しているわけではなく、本音と建前があるということを言いたいわけです。

そこで、何か情報発信ができないかと考えました。

労働問題_連載スタート

労働問題に関する連載をスタートします

複数回にわたって労働問題についての連載してみようと思います。

  • 実際に私たちはどのような環境で日々の仕事に従事しているのか
  • 実際にトラブルが起きた際には、どのようなルールが発動し、どのような機関に相談すればよいか
  • どのような解決が待っているのか

などを、具体例を交えながら、お話していきたいと思っています。

労働問題は、働く者にとってはいつ直面してもおかしくない問題です。「不当な解雇」「職場のセクハラ」「派遣切り」など、マスコミにもとりあげられるような極端な問題ばかりではありません。

上司から執拗に嫌がらせを受けている、育児休暇を取得したことで不利益な取扱いを受けた、サービス残業と称する事実上の労働時間の伸張など、表面化しないだけで、職場には、実は様々な労働問題が潜んでいたりします。

このような一見スポットライトがあたらない問題についても言及したいと思っています。

労働問題を解決するということの本質

トラブルを法的に解決すること(つまり裁判など)は、ある意味簡単です。
信頼できそうな専門家に依頼し、自分の言い分を主張していればいいからです。

しかし、労働問題での法的な解決には、特殊な事情が存在します。

労働問題の特殊な事情

それは、「労働者は、生活の糧を得るために、その会社でこれからも働き続ける必要がある」ということです。

裁判は、いわば国がレフリーになったケンカです。一旦ケンカになった関係を修復することは困難です。
ケンカがおさまったとしても、当事者の心の中のわだかまりが消えることはありません。

したがって、労働問題でケンカをすることは、ケンカ別れを前提に進めなければなりません。つまり、その会社(あるいは、その従業員)との関係性を断つことを前提にするということです。

労働問題の具体的なケースでみてみよう

例えば、こんはケースを想像してみてください。

ある会社の契約社員のAさんは、半年にわたって直属の上司Pさんからのセクハラに悩まされていました。

同僚に相談しても笑って流されるだけだし、人事課に相談に行ってもなかなか取り合ってくれません。

Aさんは、もう我慢の限界だと感じて、社長に直談判に行きました。

社長からの釘をさしてもらえればセクハラもおさまるだろうし、もしかしたら、この上司もどこか別の部署に飛ばしてくれるかもしれない、と安心していました。

ところが、1週間後、社長室に呼び出されたAさんは、社長から耳を疑うようなことを言われます。

「Aさん、今月いっぱいで辞めてもらうから。」

状況が把握できずに狼狽しながらも、その理由を聞いてみます。

すると、社長からは、「最近、勤務態度が悪いし、ミスも多いから」と言われました。

ミスは確かにするけど、それはAさんだけではないし、そのミスだってコピーの枚数を間違える程度の小さなものだったはず。それに、勤務態度だって、遅刻をしたこともないし、上司の指示された仕事も期限内にきちんと処理してきたはず。

納得のいかないAさんは、「Pさんのセクハラのことが理由ですか?」と社長に尋ねたところ、

「もう決まったことだから」の一点張り。

Aさんは、「セクハラをしたPさんはかばっておきながら、会社に波風を立てるAさんを厄介者扱いして解雇しようとしているに違いない」と思い、弁護士に相談することにしました。

労働問題_解決_裁判

労働問題を裁判で解決するとどうなる?

このケースは明らかに不当解雇です。

裁判になればこの解雇は無効、つまり、Aさんはこの会社でこれからも働き続けることができます。

しかし、現実はどうでしょうか?

Aさんは、今後もこの会社で何事もなかったかのようにPさんと一緒に働き続けることができるでしょうか?

ケンカをした当事者同士がまた同じ空間の中で仲良く過ごすことができるでしょうか?

結局、遅かれ早かれ、Aさんはこの会社にはいられなくなりでしょう。

法的な解決というのはこの程度のものなのです。

もちろん、労働問題においても、上で挙げた例が当てはまらない状況はたくさんありますから、法的な解決はなくてはならないものです。

労働問題にどうやって取り組んだらいいのか?

よりベストな解決を考えるのであれば、まず考えなければならないのは、トラブルの火種を取り除くことです。

つまり、トラブルを予防するということです。

そのためには、働く人だけでなく、雇う会社側も労働問題に関する知識を蓄えることが必要となります。

それにより、どのようなことが火種となってトラブルが起きるのかを知ることができ、その予防策を打つことができるからです。

労働問題_職場環境

労働問題は働く人の救済だけに限られません

労働問題というと、「会社から不当な扱いを受けた労働者をいかに救済するか」というイメージが先行します。

この連載でも、このような労働問題に対する対処方法を紹介することが目的の1つです。

しかし、もう1つの目的として、

  • どのようにすれば職場環境が向上するのか、
  • 上司と部下の関係を適切なものにすることができるのか、
  • そもそも「働く」ということにどのような意義があるのか

などという根本的な問題にも触れてみたいと思っています。

これらを考えることで、働く人だけではなく、会社という働く現場をより健全なものにすることもできるのです。

いずれにしても、トラブルはないに越したことはありません。

さらに、トラブルの原因となる「小さなわだかまり」の段階でそれを取り去ることができるのであればベストでしょう。火のないところに煙はたちません。

労働問題_職場環境の改善

労働問題を知れば、職場環境は改善します

この連載では、働く側(労働者)・雇用する側(使用者)のいずれかの立場だけに偏った書き方はしません。

できる限り客観的な観点からお話したいと思っています。

なぜなら、働く人だけではなく、雇用する側も会社の主人公だからです。

連載の中では、ある問題について、特定の解決方法をご紹介することもあるかもしれません。しかし、大事なことは、この解決策自体ではなく、その問題が起きた原因を認識し、今後同じような問題が起きないように予防する仕組みを作ることです。

その意味で、この連載は、あなたの会社が労働問題に取り組むきっかけを提供するものにすぎません。

連載を通じてお伝えしたことが、あなたの会社の職場環境を少しでも健全なものにし、働く人と雇用する人とのコミュニケーションが心地よいものになることを願っています。

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